大阪地方裁判所 昭和49年(ワ)393号 判決 1976年2月24日
原告
大阪三恵株式会社
右代表者
三山啓介
右訴訟代理人
河田日出男
被告
オツクス株式会社
右代表者
熊本芳雄
右訴訟代理人
村林隆一
外三名
主文
原告の主位的および予備的請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一、原告
(主位的請求について)
(一) 被告は、別紙第二、第三目録記載の各標章を附したアンダーシヤツを製造、販売、領布してはならない。
(二) 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決ならびに仮執行宣言
(予備的請求について)
被告は、別紙第二目録記載の標章のうちの「POPEYE」、同第三目録記載の標章のうちの「ポパイ」の各文字を附したアンダーシヤツを製造、販売、領布してはならない。
との判決
二、被告
主文と同旨の判決
第二 当事者の主張
一、主位的請求の原因
(一) 原告は、次の商標権(以下「本件商標権」という。)を有する。
登録番号 第五三六九九二号
登録商標 別紙第一目録に示すとおり
出願 昭和三三年六月二六日(商願昭三三―一七九五七)
出願公告 昭和三三年一〇月二〇日(商標出請公告昭三三―一六六九六)
登録日 昭和三四年六月一二日
指定商品 第三六類「被服、手巾、釦紐及び装身用ピンの類」
(二) 本件登録商標の構成は次のとおりである。
本件登録商標は、「POPEYE」の文字を上部に、「ポパイ」の文字を下部にそれぞれ横書きし、右各文字の中間に、水兵帽をかぶり、水兵服を着、顔をやや左向きにした人物ポパイが口にマドロスパイプをくわえ、錨を描いた左腕を胸に、手を上に掲げた右腕に力瘤をつくり、両足を開き伸ばして立つた状態にあらわされた文字と図形との結合から成るものである。
(三) 被告は第四目録の写真のとおり彩色した第二目録に示す絵と文字からなる表示(以下「乙標章」という。)を附したアンダーシヤツと第五現録の写真のとおり彩色した第三目録に示す絵と文字からなる表示(以下「丙標章」という。)を附したアンダーシヤツを製造、販売、領布している。<中略>
二、予備的請求の原因<略>
三、請求原因に対する答弁ならびに主張<略>
(四) 被告の主張
被告は原告主張の乙、丙名標章を自己の商品である子供用アンダーシヤツの胸部の中央部に大きく附しているが、これは社会通念上の商標の使用には該当せず、「THE THIMBLE THEATRE」というポパイの漫画を複製してこれを装飾的、意匠的に使用しているにすぎないものである。
けだし、商標の使用に該当するか否かの判断は、商標保護の対象が商標の機能であることより、これとの関連において考察すべきであるところ、商標は或る特定の営業主体の営業にかかる商品を表彰し、その出所の同一性を識別する作用を有するとともに同一商標の附された商品の品質の同等性を保証する作用を有するものであり、商標法が商標権者に登録商標使用の独占的権利を付与しているのも、当該商標の右出所識別機能及び品質保障機能を保証することによつて、一方では当該商標の使用によつて築き上げられた商標権者のグツドウイルを保護し、他方では商品の流通秩序を維持し、需要者が商品を購売するに際して商品の出所の同一性を識別し、自己のの欲する一定の品質の商品の入手を可能ならしめ、もつて需要者の利益の保護を図るものであるからである。
ところが、顧客が前記乙、丙各商標を附した子供用アンダーシヤツを購入するのはポパイの漫画が気に入つたからであつて、商品の出所、品質を顧慮したためではないのである。
つまり、顧客に対し右商品の購買意欲を喚起させるのは、商標が本来有する出所識別機能及び品質保障機能ではなく、右標章の有する装飾的効果によるものだからである。
なお、被告は右アンダーシヤツの首筋の上段にトランペツトを右横向きに青の輪郭と赤地で描き、その中段に活字体大文字で「AIRCOTT」と、その下段に「ピツパス」とそれぞれ記載したラベルを縫い付け、また、襟元に上段に「ダイワボウエアコツト」と、次段に順次赤、青、黄、緑で「ピツパス」とそれぞれ記載し、その下に赤の青、黄、緑を地として黒の輪郭で鶏を模様風に描き、その下段に「カシミロン」と記載したラベルを下げているのであつて、これら二枚のラベルに表示した標章が被告使用の社会通念上の商標である。
四、抗弁
(1) 仮に被告の乙、丙各標章の使用行為が権利侵害となるべき商標の使用に該当するとしても、それは同時に次のとおり著作物の複製であるところ、本件の場合者作権の発生日(昭和四年一月一七日)が本件登録商標の出願日(昭和三三年六月二六日)より前であるので、者作権が商標権に優先する(商標法二九条)から被告の右行為は原告の商標権を侵害するものではなく、適法である。
つまり、
(イ) 訴外キング、フイーチヤーズ、シンジケート株式会社は次の著作物の著作権者である。
(1) 登録番号 クラスK―五第三六三四五号
(2) 刊行年月日 昭和四年(一九二九年)一月一七日
(3) 内容 別紙第六目便記載の「THE THIMBLE THEATRE」
(ロ) 右訴外会社は万国著作権条約によつて日本国内において内国民待遇を受ける。
(ハ) 訴外株式会社ツリービツグは昭和四七年(一九七二年)八月一日訴外キング、フイーーチヤーズ・シンジケート株式会社から、右著作物を綿又は人造繊維製の子供用スポーツシヤツ、カジユアルシヤツにそのキヤラクター(ポパイの名称、姿態及び役割を総合したもの)を前面に大きくプリントして複製することの許諾を得た。
(ニ) 被告は訴外株式会社ツリービツグから右キヤラクターをプリントした生地を購入して子供用アンダーシヤツを加工、販売してろるものである。
なお、複製されたポパイの姿態が前記著作物の中に表現されたポパイのそれと個々的に一致していなくても、その創作性が同一である以上、ポパイの漫画であると理解できるものはすべて右著作物の複製に該当する。
(ホ) 仮に右主張が認められないとしても、本件乙、丙各標章のポパイの姿態は訴外キング、フイーチヤーズ・シンジケート株式会社が昭和三〇年(一九五五年)にアメリカ及びカナダで出版したポパイの漫画本におけるポパイの姿態と同じであるところ、右と同一の理由により右著作物の著作権が原告の有する本件商標権に優先するので、被告が本件乙、丙各標章をアンダーシヤツに附する行為は右と同一の理由により適法である。
理由
一原告が、指定商品を第三六類被服、手巾、釦紐及び装身用ピンの類とする、昭和三三年六月二六日商標登録出願、同年一〇月二〇日出願公告、昭和三四年六月一二日登録の本件登録第五三六九九二号商標の商標権者であり、その商標の構成が別紙第一目録に示すとおりであること、被告がアンダーシヤツの胸部中央に大きく、別紙第二目録に示す乙標章、あるいは別紙第三目録に示す丙標章をそれぞれ附し、右各標章を附したアンダーシヤツを製造販売、領布していることは当事者間に争いがない。
二原告は乙、丙標章はいずれも本件登録商標に類以し、アンダーシヤツは指定商品に含まれるから、被告が右商品に乙、丙各標章を附し、右各標章を附したアンダーシヤツを製造販売する行為は本件商標権を侵害するものであると主張するのに対し、被告は、右アンダーシヤツの胸部中央に表示した図形、文字は、ポパイの漫画の複製を装飾的、意匠的に使用しているに過ぎず、社会通念上の商標の使用ではないから、本件商標権侵害の問題を生じない旨抗争するので考察する。
(1) 商標法二条は、同法で用いる「商標」、「標章」、「標章の使用」について定義している。
同条の規定によれば、「文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」はすべて商標法の規定にいう「標章」にあたり、「業として商品を生産し、加工し、証明し又は譲渡する者がその商品について使用する在の定義による標章」は、それがどのような内容のもので、どのような目的のもとにどこに表現されているか、一般人がその表現を普通どのように受け取るか等一切関係なく、商標法に規定する「商標」にあたる。右「標章」の定義をしたうえで、同条三項に「標章の使用」について定義している。
右の定義による「標章」あるいは「商標」の概念が「取引社会に現に使用されている社会的事実として標章のないし商標、あるいは社会的通念としての標章ないし商標の概念」(以下「本件商標」という。)と異なるものであることは言うまでもない。しかるに、同条で、「標章」、「商標」について社会的通念に反する定義を与えたのは、専ら立法技術上の便宜のみに基づくものである。
右の定義によれば、表告が業として子供用アンだーシヤツに、乙、丙各標章を附している行為、右標章を附した商品を販売等する行為が、商標法の規定にいう「標章の使用」、「商標の使用」にあたることは明らかで、否定の余地はない。
(2) 更に、同法第三七条は、第三者が、登便商標の指定商品について登録商標に類以する商標を使用する行為を当該商標権を侵害するものとみなす旨規定している。
そこで、被告が、アンダーシヤツに乙、丙の各標章を附す行為が右法条に該当するかどうかについて考える。
乙、丙各標章を本件登録商標と対比すると、いずれも図形部分が要部をなし、みる若はそれが漫画の主人公として知られている「POPEYE」または「ポパイ」の絵であることを直感するが、その姿態、場景などが同一でないから、外観が類以しているとは言い難いが、本件登録商標には、上部に「POPEYE」、下部に「ポパイ」といずれも横書きで附記されており、乙標章には上部に「POPEYE」、丙標章には下部に「ポパイ」と附記されている事実と相俟つて、一見それらから、「POPEYE」「ポパイ」の称呼、「漫画の主人公ポパイ」との観念が生じるものと認められる。したがつて、乙、丙両標章は、称呼、観念においては本件登録商標と同一であるといわなければならない。
しかしながら、商標法が登録能力のある商標(第三条参照)につき所定の手続を経て設定の登録がなされたときは、その登録商品につき商標権の発生を認め(第一八条)、商標権者(その商標権につき専用使用権を設定したときは専用使用権者)が指定商品について登録商標の使用をする権利を専有することを認め、第三者が商標権を侵害する行為又は侵害するおそれがある行為をなした場合には、これらの者にその侵害の停止又は予防その他の請求をなし得べき旨規定しているのは、登録商標の経済的機能の発揮を法的に保護することを意図してものである。
「本来の商標」は、これにより自己の営業に係る商品を他の商品と区別するための「目じるし」として、すなわち、自他商品を識別することを直接の目的として商品に附されるものである。「本来の商標」の経済的機能として、出所表示機能のほか、品質保証機能、広告宣伝機能があることは一般に運められている。
したがつて、商標法における商標の保護とは、「本来の商標」が指定商品について商品の出所表示等の機能等を発揮するのを違法に防害する行為から法的に保護することを意味する。商標権若の権利内容は登録商標を指定商品について排他的に使用することであるが、これを防害する違法な行為は、登録商標と同一又は類以の商標を指定商標と同一又は類以の商品についての使用についても行われ得る。そこで、前記三七条が設けられたわけであるが、その立法理由は、同条に列挙せられた行為が一般に登録商標の正当な権利行使、すなわち、登録商標の機能の発揮を防害するものであるからこれを排除し、登録商標の権利者に正当な権利行使を得せしめる必要があるからである。そうるすと、右三七条の法意は、単に同条に掲げる商標が同条に掲げる商品に表現せられているという形式のみ充足するだけではなく、実質的にも、その行為が「本来の商標」的使用の行為であることを要すると解すべきである。けだし、登録商標の機能と関わり合いがない使用態様のものは、特別の事情がない限り、登録商標の正当な権利行使、すなわち、出所表示、広告、品質保障等の本来の商標の経済的機能の発揮に不当な影響を及ぼすことはないと解せられ、この行為についてまで権利侵害を認めることは、実質的理由なく不必要に権利者を保障する幣害をもたらす反面、一般人は不当に自由を奪われることになり、公正な競業秩序を維持するゆえんではないからである。
(3) もつとも、同法二六条に商標権の効力が及ばない範囲についての規定がある。これは、第二条において、前記の如く同法に用いる「商標」の語を定義するにあたり、その表示内容、記載目的その他具体性を一切捨象し、「本来の商標」とは判の関わり合いのないものまで含む表現をしたので、その結果から生じる不都合を排除するため設けられたものである。商標権の効力が及ばない場合を同条に列挙の商標に厳格に該当する場合に限定すべき理論上の根拠は見出せない。同条の立法趣旨から言つて同様の「商標法上の商標」については同一に解釈するのが相当である。
(4) ところで、成立に争いのない甲第五ないし第七号証及びキング・フイーチヤーズ・シンジケート株式会社が昭和三〇年(一九五五年)に発行したポパイのマンガ本であることについての争いのない検乙第二号証、書籍ポパイ和英大旋風であることについて争いのない検乙第三号証、書籍ポパイ1オリーブがんばるの巻であることについて争いのない検乙第四号証、書籍ポパイ2女は恐いねポパイの巻であることについて争いのない検乙第五号証によると、漫画の人物ポパイは、エルジイー・クライスラー・シガー作の漫画「シンプルシアター」(大正八年、一九一九年刊行)の主人公として昭和四年(一九二九年)に登場し、その後漫画、テレビ、映画等を通じて安物のマドロスパイプを口にし、教養はないけれども、ほうれん草を食べてはスーパーマン的な強さを発揮してて相手をやつつける片目の船乗りを表現しているものとして、国内はもちろん世界中の人々に親しまれていることが認められる。
(5) 更に、乙第七号証(江口俊夫の鑑定書)及び書籍「装苑」別冊であることについて争いのない検乙条六号証、書籍プチプチであることについて争いがない検乙第七号証、書籍メーンズ・クラブであることについて争いのない検乙第八号証、書籍主婦と生活であることについて争いのない検乙第九号証、書籍アン・アンであることについて争いがない検乙第一〇号証によると、最近技術の進歩に伴つて企業間の技術的格差がほとんどなくなつたため需要者は同一の品質、機能を有する商品間においてはそい審美性のすぐれたものを選択する傾向が強くなつたことを反映して、漫画に関する図柄、文字、動物の図柄、文字、ラグビー、サツカー等の運動競技に関する図柄、文字等をシヤツの胸部や背部の中央部に大きくプリントした各種のプリントシヤツが「ナウな感じ」、「カツコよさ」、「面白い感じ」、「可愛いい感じ」等の審美的効果を狙つて製造、販売され、需要者もその審美性にひかれて購買意欲を喚起させられている事実を認めることができる。
けだし、前記漫画に関する図柄、文字等をアンダーシヤツの胸部などの中央に大きく表示するのは、商標としてその機能を強力に発揮せしめるためではなく、需要者が右表示の図柄が嗜好ないし趣味感に合うことを期待しその商品の購買意欲を喚起させることを目的とするものと解すべきだからである。
(6) 以上の事実に鑑み、被告の製造販売に係るアンダーシヤツの写真であることに争いのない検甲第一、二号証によると、その複写である別紙第四、五目録(写真)が示す如く、乙、丙各標章の現実の使用態様は、右各標章をいずれもアンダーシヤツの胸部中央殆んど全面にわたり大きく、彩色のうえ表現したものである。これはもつぱらその表現の装飾的あるいは意匠的効果である「面白い感じ」、「楽しい感じ」、「可愛いい感じ」などにひかれてその商品の購買意欲を喚起させることを目的として表示せられているものであり、一般顧客は右の効果のゆえに買い求めるものと認められ、右の表示をその表示が附された商品の製造源あるいは出所を知りあるいは確認する「目じるし」と判断するとは到底解せられない。
これに対し、「本来の商標」すなわち、商品の識別標識としての商標は、広告、宣伝的機能、保証的機能をも発揮するが、「本来の商標」の性質から言つて、えり吊りネーム、吊り札、包装袋等に表示されるのが通常である。「本来の商標」がシヤツ等商品の胸部など目立つ位置に附されることがあるが、それが「本来の商標」として使用される限り、世界的著名商標であつても、商品の前面や背部を掩うように大きく表示されることはないのが現状である。
(7) 現に撮影日時及び被写体について争いのない検甲第一号証、被告製造のシヤツであることについて争いのない検甲第三号証及び被告製造の子供用シヤツであることについて争いのない検乙第一号証によると、本件乙標章を附した被告のアンダーシヤツについてはその首筋に上段にトランペツトを右横向きに青の輪郭と赤地で描き、中段に活字体大文字で「AIRCOTT」と、その下段に「ピツパス」と記載したラベルを縫い付け、また、襟元に上段に黒で「ダイワボウエアコツト」と次段に赤、青、黄、緑で順次「ピツパス」とその下に赤、黄、緑を地とし黒の輪郭で模様風に鶏を描き、不段に黒で「カシミロン」と記載したラベルが下げられていることが認められ、これが被告の商標として表示されているものであることが明らかである。
(8) 以上のとおり被告の本件乙、丙各標章の使用行為はこれを客観的にみても商標の本質的機能である自他商品の識別機能及び商品の品質保証機能を有せず、また、その主観的意図からしても商品の出所を表示する目的をもつて表示されたものではないものというべきである。
右と判断を異にする成立に争いのない甲第八号証の一(鑑定人機長昌利の鑑定書)の見解は採用することができない。
(9) そうすると、被告の乙、丙各標章の使用行為は結局原告の本件登録商標権を侵害するものということができないから、これと反対の見解に立つ原告の主位的請求は失当である。
三予備的請求について
原告は、本件登録商標のうち、「PO-PEYE」「ポパイ」の文字はいずれも本件登録商標の要部なるところ、被告は、「POPEYE」の文字を含む乙標章、「ポパイ」の文字を含む丙標章を附したアンダーシヤツを製造、販売、頒布しているから、右の行為は本件登録商標権を侵害するものである旨主張する。
しかし、乙、丙右標章は、いずれも別紙第二、三目録ならびに同第四、五目録の表示が示す如く、その表現態様から言つて、文字部分と図形(画の部分)とが結合し一体となつて表示されており、文字部分は図形部分に附随した説明的附記とみるのが自然であり、右文字部分のみ分離してみるのは不自然でる。
かりに、右文字部分のみを観察しても、右の文字は普通の書体で、特に図案化ないし模様化したものではないから、その部分が独立して意匠的あるいは装飾的機能を果しているとは認められないが、前記の如き表示の仕方からして右各文字部分が独立しあるいは附随的に、「本来の商標」として、出所を表示し、自他商品識別の機能を果しているとは認められない。
そうすると、乙標章のうち「POPEYE」丙標章のうち「ポパイ」の文字部分が「本来の商標」の使用と認められない以上、主位的請求について判断したと同一の理由により、被告が右文字をシヤツに使用している行為が本件商標権を侵害するものであるとの原告の予備的請求も失当である。
右と判断を異にする成立に争いのない甲第八号証の二(鑑定人磯長昌利の補充鑑定書)の見解は採用しない。
四よつて、原告の被告に対する主位的及び予備的請求はいずれもこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(大江健次郎 渡辺昭 北山元章)
第四・五・六目録<省略>